介護士が抱えるストレスとは？

介護士の職場では、多様で深刻なストレスが日常的に発生しています。厚生労働省の調査によると、介護従事者の約9割が日常的にストレスを感じており、その原因は複合的で解決が困難な問題となっています。介護現場特有の労働環境や人間関係、身体的負担が重なり合うことで、多くの介護士が精神的な疲労を蓄積させているのが現状です。

最も大きなストレス要因として挙げられるのが人間関係の問題でしょう。職場の同僚や上司との関係性に加え、利用者やその家族との複雑なコミュニケーションが求められます。特に認知症の方への対応では、理解されない状況や暴言を受けることもあり、精神的な負担は計り知れません。さらに、施設の運営方針と自分の価値観が合わない場合、理想とする介護ができずにジレンマを抱えることになります。

身体的な負担も深刻な問題です。利用者の移乗介助や入浴介助などの重労働により、腰痛や肩こりに悩まされる介護士は非常に多く存在します。夜勤を含む不規則なシフト勤務は、生活リズムを乱し、慢性的な疲労や睡眠障害を引き起こします。人手不足により一人当たりの業務量が増加し、休憩時間も十分に取れない状況が続いているでしょう。

経済的な不安も大きなストレス源となっています。責任の重い仕事にも関わらず給与水準が低く、昇給の機会も限られているため、将来への不安を抱える介護士は少なくありません。これらの要因が重なり合うことで、介護士の離職率は他の職種と比較して高い水準を維持しており、業界全体の人材不足に拍車をかけています。このような厳しい労働環境が、介護士の心身に深刻な影響を与え続けているのです。